演劇でも映画でも、「感情移入しやすい」というのが名作の必須条件ですよね。
登場人物の心情、行動に共感してもらえるかどうか。
良質な作品はそこら辺がバランス良く描かれていて、フッと物語世界へ観客を引き込みます。
だけど稀に、引き込んだ先の世界観が、まるで底なし沼のように観客の心にまとわりつき、鷲掴みしてきて容易に離さない、というものもあります。
『LILIES』はそのやっかいなタイプの方なんでしょうね。
稽古が進み、更に実感してます。
世界観への入り口は万全。
刑務所という閉塞空間、劇中劇構造の奥深さ、いずれも魅力的。
でも引き込んだ先で待ち受ける登場人物たちが皆、容易ならざるものを抱えてて凄いんです。
本当に、それぞれ。
今回、パリジェンヌのリディアンヌと、ビロドー司教という二人を演じています。
すると、それぞれの目から飛び込んでくるそれぞれの『LILIES』が、全く色を変え、ビックリするくらい異なった人生観を生み出すんです。
そして、かつて演じたヴァリエや伯爵夫人の心情も痛いほどよく分かるから、全ての人々の行動を見ている(見せられている?)ビロドー司教の心はこれまたザワンザワンと激しく波打つのです。
それぞれの人物の想いと行動が、強く、深い。
だから観る側は、否応なく、誰かに、どこかに「わたし」を重ねながら見てしまう。
そして舞台も客席も、あの深遠なる世界へとズンズン入り込んでゆく。。。
嗚呼!やっぱり沢山の方に観て頂きたい!
そして出来るなら何度か観て頂きたい!
僕の今回の二変化も楽しんで頂きたいし、三つ巴のチームバトルもご堪能頂きたい!
劇場にて、心よりお持ちしておりますね。
ご期待下さい!!
という訳で写真は3人のビロドー司教。
撮ろうと思った矢先、老シモンの巧みな妨害が入った1枚も添えて。